コミュニケーションは双方向の会話で、「話し手」と「聞き手」が存在してはじめて成立します。片方だけではコミュニケーションは成り立ちません。
よい話し手になるためには何か効果的な方法があるのでしょうか?
感じのよい話し方を身につけるにはどうしたらいいのでしょうか?
感じのよい話し方の3条件から、感じのよい言葉づかいの定義、感じのよい言葉づかいの秘訣、演習問題まで、大切なポイントを解説いたします。
感じのよい話し方の3条件

好印象を与える話し方には次の3つの条件が揃っている必要があります。
ビジュアル面
話し方に与える影響が最も大きい要素が、ビジュアル面です。話し手の服装・身だしなみ、表情、視線、態度、ジェスチャーなどによって、話の伝わる効果が大きく異なります。
自分が話し手になる場合は、相手からどのように見えているかを十分考慮したうえで会話を進めるようにしましょう。
声づかい
外見の次に影響力を持つのが、話し手の「声」です。声のボリューム、トーン、スピードが違うと、相手が受ける印象が違います。大きくはっきり話すと積極的で明るい感じがしますが、低い声でボソボソ話すと消極的で暗いイメージを与えてしまいます。
また、変化のない単調な話し方だと相手に興味を持って聞いてもらえないので、可能な範囲でメリハリをつけたり、間をとったりしましょう。
言葉づかい
最後に、話しの印象の良し悪しは、言葉のチョイスで左右されます。同じ内容でもどんな言葉を選んで話を進めるかで、大幅にイメージが変わります。例えば、方言を使う人と標準語の人では、印象が違って聞こえてしまいます。また学生言葉で話す人と、正しく敬語を用いて会話ができる人では、相手に与える信頼度もまったく異なります。
感じのよい言葉づかいとは?
では、感じのよい言葉づかいとは、どのような言葉を指すのでしょうか?感じのよい言葉と感じの悪い言葉について考えてみましょう。
感じのよい言葉の定義
感じのよい言葉とは、聞いた時に相手に不快な思いをさせず心地よく思わせる言葉のことです。
耳で聞いて感じがよいとは、相手と自分の立場を考えて敬語を適切に使用し、加えてイメージのよい言葉を用いることが大切です。
印象を悪くする言葉とは?
反対に、相手の立場を無視して敬語を使わなかったり、誤った敬語で話したりすると、相手に悪い印象を与えてしまいます。また、ネガティブなイメージの言葉や自分勝手で独りよがりの言葉づかいもマイナスの印象になります。
感じのよい話し方の秘訣
では、敬語を正しく使うことを前提にしたうえで、感じのよい話し方をするための言葉づかいについて、3つの秘訣をまとめます。
クッション言葉を用いる
いきなり何かを尋ねたりお願いごとを言われても、すんなり受け入れてもらえないケースが多いものです。次に挙げる3つのケースでは、まずクッション言葉を言ってから本題に進むようにしましょう。クッション言葉とは、会話の中でクッションの役割を果たしてくれる便利な前置きフレーズです。
クッション言葉の例 | ・「失礼ですが、~」 ・「恐れ入りますが、~」 ・「申し訳ございませんが、~」 ・「恐縮ですが、~」 ・「お手数ですが、~」 ・「ご面倒ですが、~」 |
クッション言葉を使用するケース | ① 質問する時 (名前や用件など) ② 依頼する時 ③ 否定的な言葉や内容を伝える時 |
【クッション言葉を使用する場合の具体例】
① 質問する時
質問文を言う前に、前置きとしてクッション言葉を入れるだけでソフトな言い回しになります。不躾な物言いにならないよう、クッション言葉を言ってから質問する習慣にしましょう。
[例] 「失礼ですが、どちら/どなた様でいらっしゃいますか?」
② 依頼する時
相手に気持ちよく引き受けてもらうために、依頼する時は必ずクッション言葉を挿入すると効果的です。
[例] 「恐れ入りますが、当日は資料をお持ちくださいませ。」
③ 否定的な言葉や内容を伝える時
ネガティブなことを言われると人は気分を害してしまうことが多いです。クッション言葉を利用して、ネガティブなイメージを和らげるようにしましょう。
[例]「申し訳ございませんが、あいにく〇〇はただ今外出しております。」
依頼口調にする
「お/ご~(になって)ください。」は命令口調と考えられています。お客様や目上の人にはできる限り語尾を加えて、下記のような依頼口調を使うように心がけましょう。
なお尊敬語/謙譲語ともに、平叙文より疑問文の方が、また疑問文については下方に記載のフレーズほど、より控えめな言い方になります。目上の人に対して「〜でお願いします。」などの断定的な言い回しは、高圧的に聞こえがちなので避けた方が無難です。また、難しい依頼をする際はできるだけ控えめな表現を用いるようにしましょう。
【依頼口調のパターン】
尊敬語 | ・平叙文:「お/ご~(になって)くださいませ。」 ・疑問文:「お/ご~(になって)くださいますか?/ますでしょうか?/ませんか?/ませんでしょうか?」 |
謙譲語 | ・平叙文:「お/ご~願います。」 ・疑問文:① 「~(し)ていただけますか?/ますでしょうか?/ませんか?/ませんでしょうか?」 ② 「お/ご~いただけ・願えますか?/ますでしょうか?/ませんか?/ませんでしょうか?」 |
【依頼口調の具体例】
尊敬語 | ・平叙文: 「お話し(になって)くださいませ。」 ・疑問文: 「お話し(になって)くださいますか?/ますでしょうか?/ませんか?/ませんでしょうか?」 |
謙譲語 | ・平叙文: 「お話し願います。」 ・疑問文: ① 「~話していただけますか?/ますでしょうか?/ませんか?/ませんでしょうか?」 ② 「お話しいただけ/願えますか?/ますでしょうか?/ませんか?/ませんでしょうか?」 |
否定語は使わない
否定語や否定的な内容は誰もが好みません。否定語はそのまま使わず、肯定語に言い換えるようにすれば感じよく聞こえます。また、ネガティブな内容はポジティブな状態に変えて表現するようにしましょう。
【否定語を肯定語にするパターン】
否定語 | 肯定語 | |
---|---|---|
人 | ネガティブイメージの言葉 | ポジティブイメージの言葉 |
状態 | ・「~ない」 ・「いない/ない」 | ・「~かねます」 ・特殊な表現に変換 |
演習問題
感じよく話す秘訣の3つがわかったところで、次の練習問題にチャレンジして理解度を確認してみましょう。①から⑩まで、すべて感じのいい表現に直すことができますか?
【演習問題①〜⑩】
① 何の用ですか?
② (相手の名刺を見て)何と読むのですか?
③ ちょっと待ってくれ。
④ あとで電話してくれ。
⑤ 老人
⑥ 今席にいない
⑦ できない
⑧ 知らない
⑨ (電話で相手の)声が聞こえない
⑩ (自分の)名刺がない
【解答①〜⑩】
クッション言葉 | ① 恐れ入りますが、どのようなご用件でございますか? ② 失礼ですが、どのようにお読みすればよろしいですか? |
クッション言葉+依頼口調 | ③ 恐れ入りますが、少々お待ちくださいませ。/くださいますか?/いただけますでしょうか?/願えませんでしょうか? ④ 恐れ入りますが、後程お電話くださいますでしょうか?/いただけませんか?/願えませんでしょうか? |
肯定語に変換 +クッション言葉 | ⑤ ご年配の方、お年を召した方 ⑥ 申し訳ございませんが、ただ今席を外しております。(+提案) ⑦ 恐れ入りますが、あいにくできかねます/いたしかねます。(+提案) ⑧ 恐れ入りますが、私ではわかりかねます。(+提案) ⑨ 恐れ入ります。お電話が遠いようでございますが、(+提案) ⑩ 申し訳ございませんが、あいにく切らしております。(+提案) |
なお、⑥から⑩に関しては、否定語を肯定語に変えるだけでなく、対策の提案ができればさらに好感度がアップします。
【⑥〜⑩ +提案の具体例】
⑥ 1時間後に戻りますが、いかがいたしましょうか?
⑦ 一度スケジュールを調整のうえ、候補日をお知らせしてもよろしいでしょうか?
⑧ 10分程度のお時間をいただけましたら、詳しくお調べして折り返しご連絡いたしましょうか?
⑨ もう一度おっしゃっていただけませんか?
⑩ 次回お会いする時に改めてお渡ししてもよろしいでしょうか?
まとめ
好感度を上げる話し方を目指すには、ビジュアル・声づかい・言葉づかいの3つの条件が整っている必要があります。中でも言葉づかいの面で、感じよく話すための秘訣を今回3点に絞って徹底解説いたしました。話し手として、⒈クッション言葉、⒉依頼口調、⒊肯定語の3つを軸に、日頃から効果的に使えるように訓練しておきましょう。