手土産のマナーとは?手土産の選び方や渡し方について詳しく解説!

ビジネスマナー

個人のお宅や取引先を訪問する場合は、手土産を用意しておくのが常識です。また会食や接待においても手土産は付き物です。

今回は手土産の選び方をはじめ、手土産の相場、手土産の手配の仕方、手土産を渡す場所やタイミング、手土産を渡す際の注意点など、知っておくべきマナーがありますので、詳しく解説いたします。

「手土産」とは?

まず、「手土産」の意味や似た言葉との違いについてご説明します。

「お土産」や「おもたせ」との違い

手土産」の他に、「お土産」や「おもたせ」などの表現がありますが、意味の違いについて下表にまとめます。

手土産・親戚/友人/知人の家や取引先などを訪れる時に持参する品物の意
・訪問先への感謝の印として、また相手との関係をよくしたいという願いを込めて贈る
・親疎の程度に関わらず、一般的に手土産なしの訪問は失礼とされる
お土産・買った品物を誰かに渡すことの総称
旅行先や外出先で購入して持ち帰る品物を意味する
・旅先の名産品/特産品が多い
お土産の一種が手土産
おもたせ客が持ってくる手土産の意
・受け取った品物を、持参した客へその場で提供するのが普通
・あくまでも受け取る側が用いる表現
おもたせで失礼ですが~

 

手土産のマナー

では、手土産のマナーについて、項目別に以下ご紹介します。

手土産の選び方の基本ポイント

手土産に何を選べばよいか迷ってしまう場合が多いです。喜ばれる手土産を選ぶ際の基本ポイントを4つ挙げてみます。

相手の好みや季節に合ったもの

可能な範囲で情報収集して、相手の好みや嗜好、家族構成などを知っておくと品物を選ぶ際の参考になります。好みが不明なら、ご家族やお子さんに食べてもらえそうな手土産が好ましいです。また季節限定の手土産にすると特別感があり、喜んでいただきやすいです。

日持ちがするもの

賞味期限が長い品物の方が慌てて消費しなくてもよく、相手の気持ちに負担がかかりません。特に少人数のお相手の場合は、期限内に食べきれない可能性があるので、ある程度日持ちがするものがおすすめです。

個別包装してあるもの

個包装だと衛生的で複数人で分けやすく、取引先や家族への手土産にピッタリです。各自で持ち帰りやすいうえ、お裾分けしやすいメリットがあります。

訪問先の近くで簡単に入手できないもの

相手先に近い所で調達した手土産は、値段が推測されやすいし、とりあえず買ってきた急ごしらえ感が伝わるため、避けた方が無難です。全国どこでも購入できるものや、先方の地元の品物も手土産として好ましくありません。入手しにくい品物事前にリサーチして購入したり、通販などで用意したりしておくと特別感を演出できます。

 

ケース別の手土産の選び方

相手とよい関係を築きたい/継続したいという気持ちを込めて品物を贈る風習が「手土産」です。ここでは、渡す相手ケースに応じた手土産の選び方のコツをご紹介します。

ビジネス

取引先などに手土産を持参する際は、日持ちするお菓子類がおすすめです。職場の人数を考えて数は多めにし、個包装タイプを選びましょう。クッキーなどの焼き菓子やお煎餅などが好まれます。切り分ける必要があるものや要冷蔵/冷凍のものは、先方にとって負担になる恐れがあり、避けた方がベターです。

プライベート

家族/親戚・帰省時など、家族/親戚の好きなものを選べばOK
・家族構成や人数を考慮する
・高齢者には健康に配慮したものを選ぶ
友人相手の好みに合わせる
・親しい相手なら、一緒に食べられる流行の生スイーツなどもおすすめ
目上の個人嗜好に合ったものがベスト
・好みが不明なら、家族構成から喜ばれそうなものを選ぶ
上品で高品質のものがよい
季節/期間限定品もおすすめ
お付き合いしている相手の両親・相手の家族の好みや持病の有無などを事前に聞いておく
・相手の実家が遠い場合は、自分が居住する地元の名産/特産品もOK
初訪問なら、日持ちしないものは避ける
・結婚のあいさつの場合、包丁で切る食品(ようかんやロールケーキなどの一本物)や割れやすいものは縁起が悪いのでNG

相手が手土産を持ち帰る場合

相手が手土産を持ち帰ることが前提なら、持ち運びで負担にならないように、かさばらないものや崩れにくい品物を選びます。

手土産の予算相場

手土産を購入する時の予算相場を知っておけば、手土産を選ぶ際に役立ちます。ケース別の予算相場について説明いたします。

ビジネス

ビジネスの場における手土産の金額目安は下記のとおりです。

【取引先の会社】

取引先を訪問する際は、持参する手土産は3,000~5,000円を相場として選びます。相手先の人数がある程度わかっているなら、実際の人数より少し多めの数が入っている品物を選ぶのがおすすめです。

ただし相手に気を遣わせないため、高額になりすぎないようにし、上限8,000円程度に収めます。

【上司の自宅】

およそ3,000~8,000円が予算の相場です。個人向けの品物でなく、できれば共有可能な食品を選ぶのがおすすめです。当日集まる人数と上司の家族分を合わせて把握しておき、皆で分けやすいものを用意します。不明なら、上司に合計人数や食の好みなど事前確認しましょう。

 

プライベート

プライベートな関係では、下記のような目安で購入手配をします。

【家族/親戚/友人】

相手との関係性、訪問目的、会う頻度などにより金額は異なりますが、相場として2,000~5,000円が目安です。お祝い事や、久しぶりに会う人には予算を少し高めに設定します。

【お付き合いしている相手の実家】

相手の親に気を遣わせないため、あまり高額にならないように手配します。3,000~5,000円程度が妥当な相場と言えます。

謝罪する場合

謝罪が目的の場合は、3,000~10,000円が予算の相場になります。謝罪内容や相手の立場や状況などを十分に考慮して品物を選びます。誠意を伝えるため、大きすぎず小さすぎず、派手すぎず地味すぎない、落ち着いた雰囲気のものがいいでしょう。

 

手土産の準備手配

手土産の準備手配について詳細をご説明します。

手配のタイミング

どんな品物を選ぶか事前に検討して、種類によって手配のタイミングを考えておきます。日持ちするものは訪問する数日前までに、日持ちしないものは訪問当日に手土産を準備します。

のし紙は必要?

カジュアルに訪問する場合は、手土産にのし紙(のし掛け紙)は不要です。ビジネスをはじめ訪問目的が明確なら、のし紙をつけてもらいます和菓子はのし紙、洋菓子はリボンをかけてもらうのが一般的です。包装紙にリボンをつける際はのし紙は要らないので注意しましょう。

のし紙のマナー

のし紙の水引には大別して2種類あります。結婚や弔事専用の「結び切り」と、何度でも結び直せる「蝶結び」から選びます。手土産には「紅白蝶結び」ののし紙を選び、外のしにするのが普通です。

のし紙の表書き上段)は次表のようにします。表書きの下段には、手土産を用意した人の氏名や会社名を記します。会社名は「(株)」と省略せず、正式に「株式会社」と記します

【目的別の表書き一覧】
目的のし紙のタイプ表書き
一般紅白蝶結び「御礼」 「御挨拶」 「御祝」
ビジネス紅白蝶結び「粗品」 「御挨拶」 「御礼」
結婚挨拶のため両家訪問紅白蝶結び「御挨拶」
婚約のための顔合わせ食事会紅白結び切り「寿」 「御挨拶」
謝罪無地のし「御詫び」 「陳謝」

 

手土産を渡す場所

一般的に、訪問先で通された部屋で手土産を渡します。特例として玄関先で手渡すケースもあります。

取引先通された会社の応接室や会議室
個人宅案内されたリビングルームや居間、和室など
会食や接待場所帰り際に飲食店内もしくは店外

 

手土産を渡すタイミング

訪問先や状況によって手土産を渡すタイミングが違います。ケース別に手渡すタイミングを下記にまとめます。

取引先を訪問時

応接室/会議室に通されて、名刺交換やあいさつが済んだ後に手渡します。出会ってすぐに手渡すのは時期尚早で、ビジネスの話や商談が始まる前を見計らって渡すのが適切です。例外として謝罪やお礼が目的で訪問する時は、最初の謝罪やお礼の言葉を述べて受け入れられた時が手土産を渡すタイミングです。営業で訪問する場合は商談後に渡すこともあるので、柔軟に対応しましょう。

家族/親戚/友人宅を訪問時

家族や親戚、友人や知人の家を訪問する時は、部屋に通されて、あいさつを済ませて席に座る前立ったまま手土産を渡します。いくら親しい仲でも必ず言葉を添えて手渡しましょう。

お付き合いしている相手の実家を訪問時

玄関先ではなく、リビングルームなどの部屋に通された時に、きちんとごあいさつしてから手渡します。席に座らず立った状態で渡すのがマナーです。ちゃんと顔を見ながら、両親に対し、もしくは近くにいる側の親に手渡します。

特殊な訪問ケース

手土産を玄関先で渡すのは基本的に避けます。ただし、生鮮食品やケーキ/アイスクリーム/デザートなど要冷蔵/要冷凍の場合や、生花を手土産にした際は、訪問時に玄関先であいさつした後、品物の内容を伝えてすぐに手渡しても構いません。生ものなら早めに冷蔵庫や冷凍庫に入れてもらったり、生花なら「よろしければお部屋に飾ってください」と言って、まずは水につけてもらうようにお願いしましょう。

会食や接待の時

食事が終わり精算が済んだら、帰りのあいさつ時に手渡すのが礼儀です。最初に渡してしまうと相手にとって荷物になってしまうので、渡すタイミングは一番最後と心得ておきましょう。2軒目以降で別のお店に移動する場合も、手土産は用意した側が持って移動して、相手の帰り際に手渡すのがベストです。

謝罪で訪問する時

部屋に通された後に、まずお詫びの言葉を述べて相手に誠意を示したうえで、相手のお許しを得るようにしましょう。その後タイミングよく手土産を渡します。もし手土産を先に渡してしまうと、品物で解決しようとするイメージを与えて心象が悪くなる恐れがあります。

 

手土産の渡し方

手土産を相手に渡す時の方法についてご説明します。

手土産を渡す時のあいさつ言葉

無言で手土産を渡すのはマナー違反です。あいさつ言葉に加えて、さりげない一言を添えて手土産を渡しましょう。

ただし、「つまらないものですが」「大したものではありませんが」「お口に合うかわかりませんが」などというのは謙遜しすぎなので現代ではNGです。なるべく感じのいいポジィティブな言葉を使いましょう。

おすすめの手渡し時あいさつ表現・「少しですが皆様でどうぞ」「どうぞ皆さんで」
・「以前お好きだと伺いましたので持参いたしました」
・「美味しいと評判なので/評判の味と聞きましたので、お持ちいたしました」
・「心ばかりの品/気持ちばかりですが、どうぞお納めください/召し上がってください」
・「お口に合えば嬉しいのですが

 

手土産を渡す手順

一般的には、次の手順手土産を手渡します。

⒈  部屋に通されてから正式な挨拶(訪問させてもらうお礼)をする

⒉  座る前に紙袋や風呂敷から品物を取り出す

⒊    相手の正面になるように時計回りに向きを変える

相手に文字や絵柄が見やすいよう、品物の正面を向けて両手で手土産を手渡すようにします。まず自分側に正面を向け、両手で90°ずつ2回時計回しで回転させます。

⒋    相手から見て品物が正面向きになったら、一言添えながら両手で差し出す

 

手渡す時の注意点

手土産を先方に渡す時の注意点を次にまとめます。

手渡す人/手渡す相手

複数人で手土産を持って行く時は、立場が一番上の人から相手へ手渡します。受け取る側も複数いるなら、最上位の人へ渡します。ビジネスの場合、上司から、取引先の上司へ手渡します。

 

紙袋/風呂敷の扱い方

紙袋や風呂敷で手土産を持参する際に手渡す手順や注意点を紹介いたします。

【手土産を持参する際に手渡す手順】
紙袋に入れて持参⒈    まず品物を紙袋から取り出す
⒉    両手で相手の正面になるように回転させる ⒊    一言添えて手渡す
⒋    紙袋は軽くたたんでバッグなどに入れて持ち帰る
風呂敷に包んで持参⒈    相手の前で風呂敷を開けて手土産を取り出す
⒉    風呂敷は軽くたたんでバッグの中へしまう ⒊    品物は両手で相手の正面になるように回す ⒋    一言添えて手渡す
【紙袋/風呂敷についての注意点】

紙袋風呂敷「ホコリ避け」「チリ避け」の意味があります。訪問先の相手の目の前で品物を紙袋や風呂敷から取り出してから手渡すのが正式です。紙袋や風呂敷は軽くたたんで持ち帰ります。目上の人に直接手土産を渡すなら、紙袋より風呂敷を使う方がいいと考えられています。

手土産を手渡した後に、持ち運びのための紙袋が必要だと判断したら「よろしければこちらをお使いください」と言って紙袋を渡します

会食後に相手が手土産をそのまま持って帰る、相手がすぐに移動する、相手のバッグの中に手土産が入らないなどの特別なケースに限り、最初から紙袋から出さずに紙袋ごと手土産を渡してもマナー違反になりません。ただし、「袋のまま(で)失礼いたします。」と一言付け加えましょう。

部屋別の手渡し方

部屋のタイプによって手渡し方が変わりますので気をつけましょう。なお、テーブル/机越しで受け渡ししないよう注意が必要です。

洋室⒈    イスに座る前に立った状態で正式にあいさつ
⒉    紙袋/風呂敷から品物を取り出す
⒊    自分側に正面を向けた状態から時計回しで180°(90°を2回)回転させる
⒋    相手に正面を向け、一言添えて両手で差し出す (片手で品物を持ち、もう片方の手で底部を支えるのがよい)
和室⒈    和室の下座側に紙袋/風呂敷を置く
⒉    座布団には座らず、座布団の下座脇で正座する
⒊  正式なあいさつをする
⒋    紙袋/風呂敷から品物を取り出す
⒌    正面を自分の方に向けて畳の上に品を置く ⒍    品物を180°(90°を2回)時計回しして、相手側に正面を向ける
⒎    相手の前に両手で差し出す
手土産の数について

手渡しするなら、2品までがおすすめです。相手との関係性や好みによって3品以上になる場合は、一つずつの受け渡しは大変なので、紙袋に入れたまま一言添えて手渡せばOKです。紙袋の持ち手の端を持ち袋の底を片手で支えながら、相手が紙袋の持ち手をつかみやすいように手渡します。

 

まとめ

手土産を用意するのは単なるしきたりだからではなく、忙しい相手が時間を作ってくれたことへの感謝の印であり、相手に対する思いやりの気持ちからです。手土産と、お土産やおもたせとの違いを理解し、手土産に関わるマナーを十分知ったうえで、相手や状況に合わせた手渡し方ができるようになると非常に心強いです。特に、手土産の選び方のポイントをはじめ、予算相場、のし紙の準備、手土産を渡す場所/タイミングや手順などをしっかり覚えておきましょう。

 

ビジネスマナーをはじめ、冠婚葬祭や食事など日常生活に必要なマナーについて企業や大学・専門学校、カルチャーセンター等で指導。言葉づかい、プレゼンテーション、アサーションなどコミュニケーション関連の研修も実施。新入社員研修、秘書研修、中堅社員研修、管理職研修など階層別研修にも対応。秘書検定だけでなくビジネス系の検定対策講座を担当。
マナーについてのご質問、マナー研修/秘書検定に関することは何でもお気軽にお問い合わせください。

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